落穂拾いのエプロンスカートの販売
料理人を始めてから17年
料理をつくるひとになると
志してから30数年経ちます。
私の中ではじめて料理がすきという感情が
芽生えるきっかけをくれた心の師匠
祖母きみえは、いつもしゃんとして美しいひとだった。
髪の毛をきちんとひとつに結い、
毎日綺麗なお洋服を着て、その上から
お気に入りのエプロンをつけて台所に立っていた。
祖母のエプロンはとても良い匂いで、
背中におんぶされた時に、煮物のお出汁の香り、
糠床のお漬物の香り、炊き込みご飯の牛蒡や
椎茸の香りがした。
エプロンはお洋服とは違い、
一生のうちにそう何着も買わない人もいる。
7年前、きみえとしてお客様の前に立つ際に
身につけるエプロンを探していた。
偶然蚤の市で出逢ったアンティークの真っ白エプロン。
フランスで作られたものらしきフォルム。
ボタン部分に刺繍が入っており、
とても丁寧に作られたものだという事がわかった。
それが、きみえとして一着目のエプロン。
それを纏って、色々な場所で料理をこさえた。
周りから、素敵と言われる事が嬉しくて
話し方や姿勢もしゃんとした。
自分の好き、を身につける事は、
シンデレラに魔法がかかる事と同じなのだと思った。
その時の自分を、より好きになれたから。
◯
エプロンをつくる事は、
料理人としての夢のひとつでありました。
プライベートのファッションには
さほど興味が無い私ですが、仕事着にはこだわりたい。
使い易い、色々な機能がある、これをつけると効率的、
という様な目的のものよりも
「私を好きになれるエプロン」が1着あったなら。
あの、初めに出逢ったエプロンを着て
鏡の前に立った時の、この私好き、という感覚を
皆が持てたのなら。
お台所に立つ事が今より少し楽しくなるのかも。
箒を持ってお掃除する事で少しだけ心が躍るのかも。
そんな風に思います。
◯
私が料理をする時にイメージしている雰囲気は、
フランスの画家ジャン・フランソワ・ミレーの
「落穂拾い」
初めに観たのは確か母に買ってもらった本の中で。
刈り取りの終わった畑に落ちている糧を
一粒一粒拾っているのがこの絵なのだけど、
当時の私の印象は
「この人達、とっても美味しい料理を作りそう!」
ラタトュイユや牛肉の赤ワイン煮込みを、
さぞかし丁寧にコトコトと煮込むのだろう。
それから10数年経ち、
パリのオルセー美術館へ本物を観に行った。
女性3人の腰には長いエプロンが巻かれており、
頭には3人違う色の頭巾を被っている。
拾った穂を、上手にエプロンの中に
巻き込んでいる人もいる。エプロンの扱い方が上手だ。
きっと寝ている時以外はつけているのだろう。
色が良い具合に育っているから。
背景には、稲を刈り取った後の大地。
黄にオレンジ色に、乾いた土の色…黄金色に輝く大地。
胸の中から湧き上がるものを感じた。
美しい、と思った。
◯
そんな想いを巡らせ…
今回初めて、オリジナルのエプロンと
頭巾の制作をさせていただきました。
植物の源である土と水、それからキラキラと光る稲穂を
イメージした腰巻きエプロンスカートと頭巾を、
2名の作家さんと共に時間をかけてこさえました。
————————————————————————-
エプロンと頭巾の仕立てと全ての縫製を
担当してくださった、kappōbe @kappobe_japon の藤原彩花さん。
ご自身で育てている植物から色をいただき、
糸を染め、それを伝統的な手法で織ってくださった、草樹 @aamutekstili_saju の山田朝美さん。
3名の作家が集い、昨年より打ち合わせを重ね
理想の生地感、厚み、重さ、長さ、デザイン、
動いた時の広がり方、糸の織り方、紐になった時の
色の重なり方…。
をとことん追求して生まれたエプロンと頭巾。
料理や家仕事の時のみならず、日常の中でも
他のお洋服と合わせられる様な工夫が
沢山されております。
大事にしまっておくのも嬉しい事ですが、
どんどん使ってお洗濯を重ねてゆきますと
エプロンは育ち、あなたの身体に馴染んでゆきます。
ずっとずっと、
永く時間を過ごしていただけたら嬉しい限りです。
宜しくお願い致します。
¥24,800
※こちらの価格には消費税が含まれています。
※この商品は送料無料です。